戦、国のキリシタン大名高山右近の出身地として知られる能勢の高山は、北摂山中の小盆地であるが、箕面川の源流であるのみならず、平安時代以来しばしば勝尾寺の荘園となったこともあって、箕面とは関係が深かった。このために、箕面と高山の間には、古くから道が開かれて高山道と呼ばれていた。
その道は箕面平尾の西江寺を起点とし、その裏山である宝持山を登りつめ、才が原尾根を尾根伝いに北上して、ばばたれ道を下って政の茶屋と云われる所で箕面川に出て、その後は箕面川を遡って高山村に至る約80丁の道のりである。この道は、民話として残っている高山村のお政が、恋人に逢うために何度となく通った道でもある。
かつての道の面影は、今は近年の道路改修によって殆ど失われてしまっているが、それでも、一部分、西江寺から政の茶屋の間については、今も幾つかの丁石が残っていて、往時の道筋であったことの名残を留めている。丁石とは、道に沿ってほぼ1丁(約110m)ごとに立てられた道標である。
平成3年に箕面市教育委員会が編集した「箕面の道しるべ」にも、4丁石、5丁石、8丁石が記載されており、更に、16丁石、29丁石の存在も知られていたが、その他の丁石については明らかではなかった。
ところが、箕面観光ボランティアガイドのメンバーによって、12丁石、23丁石、25丁石の3本が相次いで発見された。そして、このことによって、従来から知られていた16丁石の位置が、どうも不審であると云う疑問も新たに提示されるに至った。
そして、2015年2月に至ると、Tガイドによって32丁石が発見された。これによって、高山道は「こもれび展望所」を通過せず、尾根の東側を高度を下げながら、「ばばたれ道」に続いていたことも分かった。
更に、2016年1月に入ると、やはりTガイドによって、8丁石と12丁石との中間で、10丁石か゜発見された。